クラインの壷ロゴ

作成時期・97年11月

画像作成・GATEWAY2000 P5-133

使用言語・VC++




赤ランプ   赤ランプ   赤ランプ



メビウスの輪、クラインの壷、をご存知でしょうか。 ここに一枚の長方形の紙があるとします。

一枚の長方形

これを青い矢印の向きが一致するように、両端を曲げてくっつけると、 下のような円筒ができます。(色や光沢は飾り付けであって、意味はありません。)

円筒

しかしもし、矢印を互い違いになるようにくっつけるとどうなるでしょうか。 上のサイズの長方形では実現しにくいので、もっと細長い長方形でそれを 試みると、以下のようになります。

メビウスの輪

これが、メビウスの輪と呼ばれているものです。見てわかるように、面の 一方をたどっていくと、いつのまにかスタート地点の裏側に戻り、さらに 進むと再びスタート地点に戻るという、いわば、裏表の概念のない図形なのです。

では、以下の長方形を見てください。

一枚の長方形

この長方形の赤青2種類の矢印をそれぞれ同じ向きに張り合わせると、どうなるでしょうか。 手順として、いったん円筒を作り、曲げて、その両端を素直に張り合わせます。すると 下図のように、

トーラス

トーラス(ドーナッツ形)ができます。まあ、ここまでは簡単なことです。

では、さきほどの赤青2種の矢印のうち、青の矢印は同じ向きに張り合わせ、 赤の矢印は互い違いに張り合わせることはできるでしょうか。
答えは否です。やってみるとわかりますが、どうやってもうまくいきません。 しかし、円筒を曲げるとき、一方の端を自分自身に交差させて内側に入れ、もう一端に貼り合わせば よいことがわかります。こうしてできるのがいわゆるクラインの壷です。

クラインの壷

とってのついた壷のように見えるので、このような名前になったのでしょう。 とってのように見える管は容器の内側に戻っていますが、これもメビウスの輪と同様、 面をたどっていくと、いつのまにか裏表が逆になるのがわかるでしょう。

これらのことは数学でいう「トポロジー」で何やら意味があるらしいので(作者はよくわからない)、 モノの本での説明ではたいてい上のような「無理な形をしたクラインの壷」が登場します。

ところで、クラインの壷の表現に無理が生じたのは当たり前です。なぜなら、扱っている 空間が3次元であるためです。ところが、空間を4次元で扱うと、先の矢印を互い違いに貼り合わせることは無理なく 実行できます。4次元空間でその貼り合わせをした図形は、数学的に無理の無い形をしています。 これを(もはや壷ではないですが)便宜上「4次元版クラインの壷」と呼ぶことにします。

さて、この「4次元版クラインの壷」はどんな形をしているのでしょうか。

これを考える前に、次元を一つ落とした話をします。
普段、私たちは3次元の物体を紙など2次元空間に表現するとき、どうしていますか? 私たちはモノをある固定方向から見た立体的な「側面」の図を書きます。これは射影とよばれます。 眺める方向を変えると、紙の上の図も変わり、その結果、人間は問題としている3次元の物体の形を認識するのです。

同じ事を4次元空間にも適用してみましよう。4次元空間上の物体を3次元空間に射影すると 3次元空間の中に「4次元物体の側面」がどんと出てきます。そして4次元空間においても、「眺める方向」を 変えれば、射影された3次元の図形も形を変えます。

では、4次元空間について、その射影を実行してみましよう。 まず「4次元版クラインの壷」を以下の数式で定義します。

X = ( 4 + 2 cosφ ) cos(2θ)
Y = ( 4 + 2 cosφ ) sin(2θ)
Z = 2 cosθ sinφ
W = 2 sinθ sinφ
0≦θ<π,0≦φ<2π

これは2次元的な円周を4次元空間の中で裏返しながらぐるっと回転させて元に戻したその円周の軌跡の式です。 この式が数学的に正しい絶対の自信というのは私にはありませんが、とにかく、こう置くと先述の貼り合わせがすんなりうまくいきます。

そして、W=0としてXYZ空間に射影すると、以下のようになります。

4次元版クライインの壷

円周を移動していく過程において、右側のつぶれている所で、向きが入れ替わっているように 見えます。つぶれているように見えるのは3次元への射影を取っているためで、実際につぶれているのでは ありません。(実際、上の式をZW平面に回転させてから射影を取ると、 つぶれている箇所は他の場所に移動します。)

上の図は極めてシンプルですが、4次元空間において「眺める方向」を変えると、この物体は奇妙キテレツに 形を変えます。

以下はYZ平面上でXW座標を80度ほど回転させてみた時の図です。
(今、空間は4次元なので、軸の周りに回すのではなく「平面の周りに回す」ことになる)

XW座標を80度ほど回転

以下はXZ平面上でYW座標を80度ほど回転させてみた時の図です。

YW座標を80度ほど回転

両図とも、自分自身に交わる箇所が生じています。しかし交わっている部分ではもう一つの座標の 値が異なっているので、問題はないのです。これはあくまで射影なのですから。

ちょうど、メビウスの輪をいろんな方向から眺めると、輪に見えたり、ぐちゃっとした形に 見えたりするのと同じことが起きているわけです。

最後に、YZ平面周りの回転で、図形を一回転させた時の動画を載せます。

動画

同様に、XZ平面周りの回転で、図形を一回転させた時の動画も載せます。

動画

この動画を4次元空間に住む生物が見れば、おそらく直感的に「4次元版クラインの壷」を 簡単にイメージすることでしょう。

以上のことはちょっと数学が好きな人であれば容易に考えつくことですが、実際に こうした動画を見たことがある人は少ないのでは?



赤ランプ   赤ランプ   赤ランプ



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   メール:Morikawa_Hiroshi@yahoo.co.jp