ニュートンポテンシャルロゴ

作成時期・96年12月

訂正・97年6月

画像作成・GATEWAY2000 P5-133

使用言語・VC++




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始めに一応断っておきますが、「ニュートンポテンシャル」とはニュートンの法則の 重力ポテンシャルのことではなく、私が勝手に遊びでそう呼んでいるだけなので、 文献などをあさってもあるはずはないので、ご注意。

大学に入ると量子力学を習います。そして必ず登場するのが電子の定常状態で、 具体例として「箱の中の自由粒子」「調和振動子」「クーロンポテンシャル」が 挙げられています。これらは厳密解が解析的に得られるので「学習」のために 最適なのでしょうか、嫌というほど繰り返し練習させられます。まあこれ以外にも 若干厳密解のあるポテンシャルが存在しますが、それらは物理学科とか専門に 進まないと出てきません。

ところがです。コンピューターを利用すると解析解とか厳密解とかそんなの おかまいなくなんでもかんでも解を出してくれます。つまり、こちらがポテンシャルを 勝手に決めるとそのときの電子(など)の定常状態がわかってしまうのです。 これは実におもしろいことだと思うのですが、なぜか一般の量子力学の教科書には 載っていません。載っていないのでここに載せます。

まず、「箱の中の自由粒子」の基底状態と第一励起状態(の基底の一つ)を 載せます。これは絶対に見たことがあるはずです。

基底状態と第一励起状態

さて、上記のポテンシャルの形状はその名の通り「箱」です。つまり四方が高さ 無限大のポテンシャルで囲まれている状況です。ここで、箱の中に「N」という形を した壁をおいてみましょう。すると基底状態は

「N」の基底状態の鳥観図

となります。まあ、ある程度予想はできることですが、「N」というポテンシャルの 部分の波動関数の値が0になり、壁とNのあいだに電子が分布しているのが みてとれます。

これをマセマティカの等高線プロットの機能を使って図示すると

「N」の基底状態の等高線

という図が得られます。さらに、これを密度でプロットするとあたかも「電子雲」のような図が得られます。

「N」の基底状態の濃密図

上図において「N」の壁はあとで書き加えたものです。

このペースで「N」以外に「E」「W」「T」「O」の文字についても計算 しました。そして「NEWTON」と並べて、96年度のニュートン祭の パンフレットの表紙に採用したりしました。

「NEWTON」の基底状態の濃密図

上図は基底状態ですが、コンピューターでは励起状態の計算も可能です。それで 第一励起状態の図も載せます。

「NEWTON」の励起状態の濃密図

基底状態では電子は「行きやすい所に行く」のがよくわかります。また、「O」の文字 のポテンシャルの形に注目して下さい。横が欠けています。これは電子の通り道を 作ってやらないと、「O」の内と外で離散化されたエネルギー固有値の値が 異なってしまい、シュレディンガー方程式の解としては存在できず、したがって コンピューターでも計算できなくなるからです。参考までにコンピューターが はじき出したニュートンポテンシャルの各文字とエネルギー固有値のデータを 載せます。単位はeVで、箱の一辺の長さは3.9Åです。

        「N」  「E」  「W」  「T」  「O」  「N」
 基底状態 :21.5 28.1 21.8 14.0 23.4 21.5
第一励起状態:37.0 35.5 28.4 25.4 28.4 37.0

さて、さらに考察します。あなたはポテンシャルの摂動というものを見たことが ありますか?それをここで実際にやってみようと思います。

基底状態の図をもう一度見て下さい。「T」の基底状態は左右対称です。ということは なんとなく「T」の文字を左右にゆらすと基底状態が分裂しそうな気がします。 実際その通りで、これはいわゆる「縮退が解けた」ことを示します。「T」の文字を 箱の中で右に0.1Åずつ移動させたときの波動関数の様子を以下に載せます。

基底状態の変化

励起状態の変化

上が分裂したエネルギーの低い方で、下がエネルギーの高い方です。「T」を 移動させた瞬間、片側がフッと消え、縮退していた波動関数が分裂したのがよくわかります。

これは何次の摂動で縮退が解かれたのでしょうか。残念ながらそこまでは計算 できませんでしたが直観的には1次だと思います。なぜなら基底状態は「T」の 移動に関して極めて不安定だからです。これを見るには実際にエネルギー固有値を グラフにしてみるのがいいと思われます。それが以下の図です。

エネルギーの変化

横軸が移動距離で、縦軸がエネルギー固有値です。これだけから1次と断言するのは危ないですが1次だと私は思います。

長編になりましたが、以上です。


ニュートンポテンシャルの訂正

拙作「ニュートンポテンシャル」に誤りが発覚しました。 というのは、摂動に関してです。 もし、ニュートンポテンシャルの摂動理論が正しいなら、

エネルギーの変化

の図において、第一励起状態のエネルギーは、移動距離0.0Å の点に向かって右から左へまっすぐ収束するはずです。ところが、このグラフは 0.1Åの点において微妙に折れ曲がっています。最初は計算の誤差と思い、 ほったらかしていたのですが、たぶん、このグラフは間違っています。

いろいろ考えた結果、結論が出ました。「T」の基底状態は

「T」の基底状態

で、第一励起状態が
「T」の励起状態

だと書きましたが、 実は下側の画像は「第2励起状態」らしいのです。この下側の画像は縦に分裂 していますが、どうも第一励起状態として横に分裂する状態があるようなのです。 第1励起状態は、基底状態とエネルギー的にとても近くて、コンピューターでの 数値計算の際、エネルギーの誤差にまみれてはじき出されなかったのです。 従って、

エネルギーの変化

は実は
エネルギーの変化(訂正版)

となるべきであって、別に縮退が解けているわけじゃないのです。 ここにお詫びして訂正致します、と言いつつ、これがまた誤りである可能性も なきにしもあらず…


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   メール:Morikawa_Hiroshi@yahoo.co.jp